子育てのヒント~コーチング~

子どもに毎日怒っちゃうお母さん(お父さん)、イライラしちゃうお母さん(お父さん)こそ、コーチングはおすすめです

事例編

事例編

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あなたもコーチングの考え方や具体的なスキルを使って、実際に気づいている問題にチャレンジしてみませんか?

とにかくまずは試してみることです。

やってみて子どもの、自分の変化を観察してみましょう。

何らかの変化があると、続けていることが楽しくなります。

ただ気をつけたいのは、いくら変化があるからといっても、その変化にはさまざまな幅があるということです。

ダイエットでも1kg近くやせることもあれば、1週間前と変わらなかったり、逆に少し増えてしまったりしますが、続けていれば体はだんだん軽くなります。

コーチングも半年続けていれば、きっと気分が軽くなります。

慌てず、焦らず、変わらないことを嘆くより変わったところを見つけ、認め、楽しみながら取り組みましょう。

「自分の気持ちがどれだけ楽になったか」「前より子育てが楽しめるようになったか」「子どもの笑顔がどれだけ増えたか」といった変化を、効果の指標にしてください。

ケース1 子どもの「やだやだ!」

幼稚園の年中になったばかりのYちゃんは、おとなしく、引っ込み思案な方でしたが、最近ずいぶん自己主張するようになりました。

Yちゃんには2歳下の妹がいるのですが、これまでは妹の面倒もよくみていました。

ところが「Yちゃん、○○してくれる?」とお願いしても「やだ!」。

「Aちゃん(妹)みててね」と言っても「やだ!」。

逆にお手伝いでは「Yがやるの!」「これしたい!」「あれがいい!」思い通りにならないと、いつまでもぐずぐず言っています。

ご主人に相談しても、「今までお利口すぎたんじゃないの? ちょっと遅い反抗期だよ。そんなにムキにならなくてもいいんじゃないの。それに、前はYがちっとも自己主張しないから、○○ちゃんみたいにはっきり言うようになって欲しいって言ってたじゃないか。ようやく自己主張し始めたんだから、歓迎しなくちゃ」なんていう始末。

そんな時、お母さんはコーチングと出会い、「まず、子どもの気持ちをそのまま受け止めてあげること。

そのためには子どもの言葉を繰り返すこと。

だだやわがままを力尽くで抑えようとしても逆効果」などを知り、それを実践することにしました。

公園から帰る時、「やだ! もっと遊ぶ~!」と言い出したので、お母さんが「そう、帰るの嫌なんだ。もっと遊びたいよね」と、ニコニコ顔で繰り返すと、一瞬Yちゃんは目を大きくしてびっくりしました。

普段なら「何言ってるの!? もう時間でしょ!」と、目を三角にして怒るからです。

さらにお母さんが「そっか、そんなに楽しかったんだ」と言うと、「うん、楽しかった!」とニコニコ顔になったYちゃん。

それで納得したのか、何事もなかったかのようにおもちゃを片付け始めました。

今までは「何言ってるの!?」「やだ! もっと遊ぶのー!!」と一悶着があったのに、「今までの苦労はなんだったの?」とお母さんは拍子抜けしてしまったそうです。

それからは、Yちゃんの言葉をじっくり聞き、根気よく繰り返しました。

すると、お母さんがお説教したり説明したりしなくても、Yちゃんは自分から「だって○○だもん」など理由を喋ってくれるようになりました。Yちゃんも自分の気持ちを言葉にして、お母さんに受け止めてもらうことで気が治まるのでしょう。

だだがこじれることも少なくなったそうです

ワンポイント:子どもの気持ちを受け止めたことを、シンプルに返すのが“リフレイン”です。

一部を繰り返したり語尾を繰り返したり、気持ちを想像して「嬉しいんだね(悲しいんだね)」などと返したり。慣れてくると相手の話のポイントを要約して、「それはこういうことなんだね」といったこともできるようになりますが、まずは語尾をそのまま繰り返す“オウム返し”から始めましょう。

ケース2 片付けして欲しい

小学生のMくんとKくんはやんちゃ盛りの兄弟。

元気なのはいいけれど、ちょくちょく羽目を外すのが、お母さんの悩みの種でした。

しかも、2人して遊びに夢中だと、少々声をかけたくらいでは聞こえません。

一番の課題はお片付け。現在は2人で1つの部屋を使っているのですが、いくら言っても部屋の中は散らかり放題。

そこへ友達が毎日のように来るのですから、ちっとも片付きません。

なくしもの、忘れ物もしょっちゅうです。

明日学校で必要な物が「見つからない~!」と大騒ぎになるのも日常茶飯事でした。

いくら怒っても脅しても片付けしない兄弟に、お母さんは疲れ果ててしまいました。

そこで、兄弟に尋ねてみることにしました。

「もうお母さん、『片付けなさい!』と言うのしんどくなったし、もう2人とも自分でできると思うから、もう言わないでおこうと思うんだけど。だから、2人でどうしたらもっときれいな部屋になるか考えて欲しいの」「えーっ! そんなこと言っても分かんないよ」

「そっか、分からないんだ。どこが分からない!」

「どこから片付けたらいいか、何をすればいいのか分からない」それで、みんなは子ども部屋に行ってみることに。

「何が一番散らかっていると思う?」

「服がいっぱい。あとはゲームとおもちゃ」

「そうだね。服があちこちあるね。どこに直したらいいと思う?」

「ハンガーラックと引き出しでしょ。じゃ、ここに掛けられるよう場所を空けとかなきゃ」とMくん。

「それなら僕も掛けられる!」とKくん。

そうやって1つ1つの課題をはっきりさせて、順番に決めていくと、子どもたちの中から解決策がどんどん出てきました。

最後に「寝る前に一度、2人で部屋全体を見ること。

服やおもちゃやお菓子が散らかっていないかをチェックして、それぞれ決めた場所に片付けること」を約束しました。

「これをしばらく試してみて、もしうまくいかなかったら、またその時に話し合おう」そう決めて、お母さんの気持ちもすっきり片付いたようでした。

ワンポイント:子どもの部屋が片付いていないと、それだけでイライラしてしまいますよね。

「また散らかして!」「どうしていつもそうなの!!」と、非難や攻撃の言葉も増えてしまいます。

しかし、特に小さい頃は「片付けなさい」と言われても何から取りかかればいいか分からない、考えつかないことも多いのです。

そんな時は、質問していくことで問題を小さくして、行動に移しやすくするようにしましょう。

子どもが行動に移せないのはやりたくないからなのか、それとも分からないからなのかを見極めて、時には問題を小分けにしていくことも有効です。

ケース3 自分で朝起きるようにするには?

Eちゃん(小3)はとにかく朝が苦手。

お母さんが何度声をかけて、体を揺すってようやく起こしても、布団に潜り込んでしまうことがしばしばです。

でもお母さんは、朝食の準備やお父さんのお弁当も作らないといけません。

そうやってつい時間が過ぎると、今度は「もう7時45分やんか! なんで起こしてくれなかったん!?」と怒りながら階段を下りてくる始末。

「いい加減にしなさい! 何度も起こしたわよ!」「私、覚えてないもん! ちゃんと起こしてないってことでしょ!」と、けんかになることが日常茶飯事。

「なんで朝から大げんかになっちゃうの」と、お母さんはぐったりです。

そこで、ママ友にもあれこれ聞いて、対策をリストアップしてみました。

  • 自分でも起きられそうな新しい目覚まし時計を買う
  • 夜9時までに寝るようにする
  • これからお母さんは一切起こさない
  • あるいは1回だけ起こす
  • 遅刻してもEちゃんの責任。学校の先生にもそう伝えておく
  • お母さんが怒られるのは納得いかない。怒られるようならもう起こさない

いろいろなアイデアやお母さんの気持ちを、紙に書いてみました。

そして、その中からEちゃん自信に対策を選んでもらうようにしました。

最終的に決まったのは、目覚まし時計と夜9時までに寝るよう努力すること、1回だけお母さんが起こしにいくけど、後は本人に任せることを決めました。

そして、それを紙に書いて冷蔵庫に張っておきました。

さて初日、前日早く寝たのも功を奏したのでしょう。

7時過ぎにはEちゃんは自分で1階に下りてきました。

「1人でちゃんと起きたのね。すごいじゃない! お母さん、ほんと助かるわ」と心から声かけしました。

Eちゃんも満更ではなく、「当たり前じゃん」なんて続いています。

そんな日が3日ほど続きましたが、4日目は7時半になっても下りてこず、とうとう約束通り、お母さんが一度だけ起こしに行くことにしました。

「もう7時半だよ」心の準備ができていたお母さんは、「起きなさい!」ではなく、ただ事実を伝えることにしました。

「え! なんで!? 目覚まし鳴ってないじゃん!」とEちゃんは不満げでしたが、「約束通り起こしたからね~」と、お母さんは1階に下りていきました。

1ヶ月が過ぎると、Eちゃんもだいぶ慣れてきたようです。

お母さんは、「おはよう! 今日も起きられたね」と声かけを忘れません。

思えば今までは、頭ごなしに「早く起きなさい!」「どうして何度も起こさなきゃいけないの!」という風に、はなから批判的、攻撃的になっていました。

売り言葉に買い言葉で、火にせっせと油を注いでいたのかもしれません。

今でもEちゃんは寝ぼけ眼で文句を言ったりすることがありますが、お母さんはEちゃんの不機嫌さに釣られず、対応することができるようになりました。

するとEちゃんも我に返り、もめることは少なくなったそうです。

ワンポイント:小学校の中学年ともなれば、子ども自身に対策を選ばせた方が、本人の自覚と責任を意識させる上でも効果的です。

実際の対応では、「できたこと、起きられたこと」に焦点を当て、認め、ほめることが子どものやる気に繋がります。

子どもに「朝起きるのは自分の仕事、自分の責任だ」と認識させることができたら、後はその時々の、子どもの眠気やイライラに巻き込まれず、冷静に対処しましょう。

ケース4 甘えん坊を自立させるには?

6歳のHくんは甘えん坊。

体は同年代の子どもたちと比べて大きい方なのに、いつまでも「ママ、ママ」とべったり。

しかも年長になってから、なぜか卒業したかと思っていたトイレの失敗が続いていました。

つい先日も、買い物の途中で派手に大小両方お漏らししてしまって大ショック!

「来年、小学校なのにどうしよう」お母さんはいろいろ子育ての本を読んだり、幼児教室に通わせてみたりなどしてみましたが、Hくんの甘えはひどくなるばかりです。

そんな時、「自立するためには、その前にしっかり依存することが大事。しっかり“子ども”をしてこそ、大人になることができる」という言葉を目にしたお母さん。

「Hを自立させよう、引き離そうとしていたけど、それが逆効果だったかも」それから意識してHくんの甘えをしっかり受け止めるようにしてみました。

「ママ、聞いて聞いて!」と言われたら手を止め、目を見て話を聞く。手を繋いだり、抱っこしたりのスキンシップもいっぱいしました。

「もうお兄ちゃんだから」「もうすぐ小学生だから」という言い方をしないよう、気をつけました。

不思議なもので、「この子は、しっかり自立するために、今はたっぷり甘えることが必要なんだ」と考えることで、以前ほど周囲の目も気にならなくなりました。

しばらくすると、Hくんは前ほどぐずぐず言ったり、必要以上にベタベタくっついてくることが減っていきました。

「あのまま、無理やり引き離したりしなくてよかった。

でも、こうして離れていくようになると、今度は私の方が寂しく感じたりします」というのが、お母さんの感想です。

ワンポイント:Hくんのお母さんは、「自立するためには、その前にしっかり依存することが大事。しっかり“子ども”をしてこそ、大人になることができる」という言葉に出会ったことで、自分の考えを“リフレーミング”することができたようです。

そして傾聴し、触れ合って子どもをしっかり受け止めることで、Hくんの思いは満たされたようです。

問題行動の裏にある気持ちはなんなのか。無理やりやめさせよう、変えようとするより、今までの枠を外して原因を考え、どうすれば解決できるかを行動に移す、子育てコーチングの一例です。

ケース5 習い事をやめたい!

「3種目マスターするまでがんばる!」と言っていた、Sちゃん(小5)が、突然「スイミングをやめたい」と言い出しました。

お母さんは「何かあったの?」と聞きました。

「スイミングの先生に『何度言っても直らないなあ』って言われて、すごく嫌な感じ。もう行きたくない」

「そうか。そんな風に言われたら嫌だよね。でも、あなたは泳ぐのも嫌い?」

「今は嫌い」

「前は好きだったのに、嫌いになったの?」

「うん、高学年のクラスで25m泳げないの、私だけだもん。それにコーチも嫌」

「自分だけ25m泳げないのとコーチが嫌なのね。じゃ、どうしたい?」

「コーチが違う人だったら、まだがんばれるかな」

「コーチが違ったらがんばれるんだ。じゃ、どうしたらいいと思う?」

「別のスイミングスクールに変わりたい。そうしたら3種目マスターするまでがんばる」

結果、Sちゃんとお母さんは電話をしてそのスイミングスクールをやめ、別のスイミングスクールへ通うことにしました。

その後は「水が合った」のか、何事もなかったかのように通い続けたそうです。

「あれこれ悩むより、じっくり話を聞いてみるのも大事なんだ」と思うお母さんでした。

ワンポイント:ここではリフレインを使って、うまく娘の気持ちを引き出し、問題点をはっきりさせたお母さんですが、全てがこんな風にいくとは限りません。

しかし、お母さんは何も難しいテクニックや特別なことを使っていません。

やめたい理由を勝手に予想しないで、白紙の状態で聞くことが大切です。

また、理由が分かったからといって「じゃ、こうしなさい。ああしなさい」と押しつけないようにしてください。

ケース6 やる気を引き出すには?

『あなたのお子さんの良いところを、20個挙げてみてください』

息子のSくん(5歳)のことで悩んでいたお母さんは、たまたま近くの公民館で行われていた子育てセミナーに参加しました。

そこで言われたのが、冒頭の言葉。

「悪いところならいくらでも出てくるんだけど……」

「でも、悪いところ(お母さんがそう思い込んでいるところ)も180度視点を変えれば、良いところに変わるものです」という講師の言葉に促されながら、お母さんは思いをめぐらせてみました。

「腕白で、けんかも多いけど……よく言えば感情が豊か。表現力が豊か。しっかり自己主張ができる、周りから見て分かりやすい。本人にストレスが溜まらない」などをシートに記入することができました。

それを参加者同士で発表していると、「うちの子は全然自己主張しないで、何を考えているのか全然分からない」と悩んでいるお母さんから見れば、Sくんのような性格がうらやましいということも分かってきました。

「見方次第で良くも悪くもなります。そのことを踏まえ、良い部分は伸ばし、悪い部分は抑えるように対処しましょう。それと、自分の子をよその子と比べないこと。もし比べるなら、過去の自分と比べるのです。1ヶ月前、半年前、1年前の子どもと今を比べてみましょう。きっと子どもは大きく成長しているはずです。その変化をほめてあげてください」

そして、『今日改めて発見した子どもの良いところを、子どもに伝える』という宿題を持って、お母さんは帰りました。

家に帰ってSくんを見ると、「だだのひどいSくん」ではなく、「感情豊かで自己主張のしっかりできるSくん」に見えるのです。

Sくんがいつものように「こっちのお菓子がいい!」と言っても、「もう、こっちにしなさい!」ではなく「はっきり言えてすごい」と思ったり、「うらやましい」と思ったり。

「私は普段感情を表に出さないから、それが知らず知らずのうちにストレスになっているのかも……」とも考えました。

ワンポイント:いつも身近にいて、いつもコミュニケーションを取っている母子ほど、いくつもの色眼鏡やフィルター、思い込みに縛られがちです。

常日頃からその枠を壊したり、変えたり、組み替えたりする“リフレーミング”を意識することが重要になります。

本を読むのも、人の話を聞くのも、自分自身に問いかけてセルフコーチングするのも効果的。

前向き、肯定的に子どもと子育てを捉えられるようにすることから始めましょう。

ケース7 いつもうるさい子どもを静かにしたい

どちらかというと几帳面。子育てにおいても周りに迷惑をかけないようにと、いつも意識していたお母さんにとって、Tくん(6歳)とYちゃん(5歳)をつれて公共の場に行くのはとても苦痛でした。

電車の中でもTくんがウロチョロし出すとYちゃんもじっとしていません。

ファミリーレストランでも静かにお利口にさせなければと思うだけで、胃が痛くなって食べた気がしません。

でも、先日は仕方なく2人をつれて電車に乗ることになりました。

子育てコーチングの本を読んだお母さんは、頭ごなしに怒らないこと、感情的にならないこと、公共の場のルールとして守るべきところは毅然とした態度で譲らない、どうしようもなくなった時はその場を離れることなどを心に留め、対処することにしました。

まず電車に乗る前、2人にしっかり話をすることにしました。

これまでは「静かにしていないと、車掌さんに怒られるよ」「お利口にしていたら、後でお菓子を買ってあげる」「また騒いだら、もう二度と電車に乗らないからね!」と、脅したり釣ったりと、いろいろな手を使っていました。

でも今日は「コーチになったつもり」で子どもたちを信じ、冷静に対処してみようと思いました。

「Tくん、電車にはいろんな人が乗っているでしょ。大声を出して騒いだり、走り回ったりしたら、みんなどう思うかな?」「どうしても静かにできなかったら、どうしようか? どうしたらいいと思う?」「静かにするため、何があったらいいかな?」そんなことを問いかけ、一緒にルールを作りました。

「大きな声を出さないで、普通に喋る」「座るか、ドアのそばに立っておくか決める。途中でウロチョロしない」「Tくんはゲームを、Yちゃんは絵本を持っていく」「約束が守れなかったら、電車を降りる」などを約束し、翌日、3人は電車に乗って隣町まで行くことにしました。

最初は2人ともとてもお利口にしていました。

TくんがYちゃんに「大きな声はダメだよ」と念押しをするなど、「お兄ちゃんになったんだな」と微笑ましく思っていたのですが、すぐ隣の線路を快速電車が併走すると、2人でギャーギャー叫び出しました。

「あれ、約束は?」お母さんは努めて平静に注意を何回かしましたが、2人はさらにギャーギャーギャーギャー!「ここは壁にならなきゃ!」と決めたお母さんは、次に泊まった駅で、さっさと2人の手を引いて途中下車。

「あっ!?」と思ったけど後の祭り。

Tくんはしょんぼりしています。

ホームの片隅で、お母さんはしゃがみ込み、2人の目を見て静かに話しました。

「約束、守れたと思う?」「ううん、とてもうるさかった」「そうだね。これからどうしようか。静かに乗れそうだったら、もう1回電車に乗ってお出かけするけど、もう無理だったら、このまま帰ろうか。どっちにする?」「このまま帰る」「私も」結局お出かけは中止になってしまいましたが、3人が納得する形で中止することができました。

「なんだか意識しておくことで、私が冷静にいられたのが何より意外な発見でした。力尽くで言うことを聞かせようとしていたら、きっとますます悪い結果になっていたと思います」

今度こそ、最後まで楽しいお出かけの時間を過ごせるようトライしようと思ったお母さんでした。

ワンポイント:公共の場に行くと、特に周りの目が気になって、つい必要以上に怒ってしまう、感情的になってしまう、という人も少なくないでしょう。

こうした場所では、まず守るべきルールがあることを理解させなければなりません。

しかし、ただ「人に迷惑かけちゃダメでしょ」では分からないことも。

「走らない」「大声を出さない」など具体的な行動に小分けして、子どもでも分かりやすいルールにしておくことがポイントです。

そして、「静かにしなければ電車(バス)を降りる」「途中でもお出かけを中止する」といった約束はきちんと守ること。

「せっかく出かけたのに」「かわいそうだから」と揺るがず、時には壁になって対応することも必要です。

ケース8 子育てのイライラ

Fちゃんのお母さんは、フルタイムで働いています。

いつも明るくて、元気いっぱいという雰囲気ですが、どうも最近、時々妙にイライラしてしまう自分に気づいていました。

保育園の帰りに暗くなりかけた道を急いでいると、Fちゃんが花屋の前で立ち止まってしまい、歩こうとしません。

「どうしたの? 早く帰ろうよ」声をかけてもFちゃんは座り込んで花を見ているようで、「もう! 先に行くよ!」大きな声を出して、これ見よがしにさっさと歩いていってしまいました。

慌てて追いかけてきたFちゃんはしょんぼりしていましたが、ふとお母さんの手を引っ張って、こう聞きました。

「ねえ、お母さんはどうしてそんなに急いでるの?」「だって、早く家に帰って、晩ご飯作って、早くお風呂に入って、早く寝なくちゃ……」答えているうちに、なんだかおかしくなりました。

一体どこまで早くしたら気が済むんだろう、と自分でも思ったからです。

お母さんはセルフコーチングのつもりで、自分自身に問いかけてみることにしました。

「私は何をそんなに急いでいたんだろう」「私は何にイライラしていたんだろう」「子どもをせかしてまで、急ぐことのメリットは?」「急ぐことのデメリットがあるとしたら、それは何?」

そうすると、帰り道を5分10分急がせても、大したメリットがあるとは思えません。

しかも、自分がイライラするのは、仕事を家に持ち帰った日に限ってひどいこと。

最近疲れがひどいことなどに気づきました。

「無意識に気持ちが焦って、憂うつになっていたのかも。でも、Fに怒るのは八つ当たりよね」そう思ったお母さんは、まずイライラと事実を切り離して、「この状況を少しでも良くするため、今私にできることはなんなのか」を考えてみました。

その結果、「ご飯を作って食べ、お風呂に入ることはどっちみちしなければならないのだから、その間は仕事のことで思い悩まない」「その代わり、10時には家事を終え、仕事を取りかかれるようにする」「夫にも、Fをお風呂に入れてもらうなど、協力をお願いする」などの解決策が思いつき、おかげで気分的に随分すっきりしました。

そしてFちゃんにも、「ちょっとイライラしちゃって、つい大声で怒って、ごめんね。お母さん、夜にちょっと仕事をしなくちゃいけなくて、早く用事を終わらせたいから、ご飯の用意とか、Fができることを手伝ってくれる? そしたらお母さん、とても助かるんだけど」と、私メッセージを伝えることができました。

Fちゃんもすっかり機嫌を直して、「うん、いいよ! でね、さっきのお花屋さんにね、きれいなガーベラのお花があったんだよ。お母さん、前に好きだって言ってたでしょ?」「そっか、ガーベラのお花を見ていたのね」「うん、教えてあげようと思って」「ありがとう。じゃ、明日の帰りにまた寄ってみようか」「うん!」

ワンポイント:いつもにも増して「早く!」を連発したり、イライラモードになっていたりしたら、一度深呼吸をしてセルフコーチングをしてみましょう。

イライラを多角的に見ることで、自分とイライラを切り離すことができます。

そこから見えることがあるはずです。コーチングでは、「○○した時のメリットとデメリットとの両方を挙げる」ことがよくあります。

メリットがあるとすれば、逆にデメリットがあるとすれば……と考えることで、思わぬ発見もあるはずです。

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